事例

電力・エネルギー業界 活用実績 国内事例

電源開発送変電ネットワーク株式会社

NavVisが実現する、大型複合橋梁・地中送電設備の施工検討DX

送電部 地中送電グループ 鈴木 武望 氏
電源開発送変電ネットワーク株式会社(以下、J-POWER送変電)は、電気事業法に定める法的分離に対応し、J-POWERの送電事業を担う新たな会社として2020年4月にスタートしました。これまで北海道・本州間などの地域間連系設備や大規模電源に係る送変電設備等の建設・維持管理を行い、日本全体の電力系統における広域的な運用と電力の安定供給に携わっています。
世界最大級の複合橋梁に構築された特殊な送電設備

—今回NavVisを導入されたのは、どのような設備なのでしょうか

J-POWER送変電が管理する本州と四国と結ぶ道路・鉄道併用の巨大複合橋梁内部に通る広域連系線です。地中および橋梁添架設備の長さは約22kmに及び、50万ボルト級の超高圧送電線を敷設している世界的にも極めて特殊なインフラです。使用されているOF (Oil Filled) ケーブルは絶縁油を含む特殊構造で非常に重量があります。現在は将来的な経年更新を見据えて、これらをいかに安全・確実に撤去し、新しく敷設するか、緻密な施工計画・工法検討を進めています

J-POWER送変電が管理している送電設備(NavVis IVIONのパノラマ写真表示)
負荷の高い現場調査と共通認識の限界

—NavVis導入前は現場調査や施工検討においてどのような課題があったのですか

図面と写真での現場確認の限界:建設当時と現在とでは、周囲の建造物や現場の状況が大きく異なります。そのため、緻密な現場状況の把握が不可欠でしたが、従来の図面や写真による現場確認や施工検討には正確さや効率化の面で限界を感じていました

洞窟のような現場で認識共有が困難:地中線区間は、まるで目印のない洞窟のような現場のため、本店と現地が離れている中で「ここの、この場所が…」と説明しても正確な場所のイメージを共有しづらく、お互いの認識を合わせるのに時間も掛かり苦労していました

長距離&大型施設内の移動による負担:本店と現地が離れているため、現地に行って調査・検討するだけでも数日単位の時間が必要でした。また、橋の内部は他施設(鉄道・道路等)を避けるための遠回りルートしかなく、階段や梯子の昇降も多いため、非常に体力を消耗していました。さらに、狭い場所や施設の凹凸部も多く、安全面に配慮しながら移動・作業するのも一苦労でした

こうした課題に対して、総合建設コンサルタント会社である日本インシークさんからNavVis高精度モバイルレーザースキャナによる3Dデータ化とデジタルツイン・プラットフォームであるNavVis IVIONのご提案をいただきました。既に他の地中設備での高い計測実績に加えて、非常に複雑な橋梁部の構造であっても高精度に3D化できる点が決め手となり、将来的な工法検討への活用等を見据えて導入を決定しました

約22kmの巨大橋梁区間をまるごと3D化

—実際にNavVis IVIONを使ってみて、どのような効果を実感されましたか

本プロジェクトは2カ年計画で進行し、総延長約22kmに及ぶ大規模な地中・橋梁区間の高精度3Dスキャンを実施してもらいました。現在は取得した膨大な点群データをデジタルツイン・プラットフォーム「NavVis IVION」へと統合・活用し、確かな効果を実感しています

出張・現地調査前の心構え:現地へ行く前にNavVis IVIONで対象区間を確認する事で、立入り口の位置や現場状況を鮮明なストリートビューで事前に把握できるようになりました。現場イメージを持って現地に向かえるため、実際の調査や同行する各業者への案内が格段にスムーズ化しています

遠隔でも正確な「共通認識」を実現:NavVis IVIONの画面を共有しながら打ち合わせを行うことで、これまで言葉だけでは「ぼやっと」しか伝わっていなかった場所のニュアンスが、「ここだよね」と一発で共有可能です。遠隔地にいながら互いの認識にズレが生まれないことは非常に大きな利点であり、「ここから入って、ここへ抜ける」といった現場の誘導ルートや頭の中だけでは難しい施設シミュレーションの難易度も大幅に下がりました

3Dデータ化された橋梁部(NavVis IVIONでの点群データ表示)

現場訪問不要の「簡易計測」で業務効率化:画面をクリックするだけで2点間の寸法を測れる計測機能も日々の業務で重宝している要素の一つです。扉の交換といった軽微な補修工事であっても、以前は現地に赴いて寸法を測る必要がありました。しかし、NavVisの点群データは非常に正確で誤差が少ないため、画面上での寸法が確認できるようになり、現地へ行く手間や作業コストの削減ができています

死角や複雑構造を可視化:地下から橋へ接続する立坑部など、人の目線からは死角になって見えにくい箇所も3D点群データ上であれば把握できます。特に橋の裏側の複雑な構造も全方位から確認できるようになり、施工検討をより高度化していく上でも欠かせない機能だと感じています

3Dデータ化された送電部(NavVis IVIONでの点群データ表示)
点検・工法検討の高度化と次世代への活用

—今後はこの3Dデータをどのように展開していく予定ですか

今後はこの全線に及ぶ3D点群データを基盤とし、より具体的な施工計画や資機材の搬入計画への活用を本格化させていく予定です。例えば、現場の状況をデジタル上で高鮮度に可視化することで、「どこに車両を配置し、どこから資材を搬入すべきか」といった緻密なシミュレーションが可能になります。これにより、安全性を極限まで考慮した高度な工法検討が期待されています

また、このデジタルツイン環境は、現場の安全だけでなく「人の育成」にも大きなイノベーションをもたらします。複雑な橋梁構造を持つ現場では、新入社員や未経験者が「どの階段を上れば目的地に繋がるのか」を把握するだけでも相応の時間を要していました。しかし、現場へ赴く前にNavVis IVIONで直感的な空間イメージを共有できれば、教育期間の大幅な短縮と、現場における安全意識のさらなる向上を同時に実現できます

さらに、このビジュアルの力は、次世代を担う学生向けの採用活動にも応用可能です。普段は決して目にすることのできない地中送電設備というダイナミックな仕事の舞台を、鮮明なパノラマ写真を通じてリアルに体感してもらう。これにより、言葉だけでは伝わりきらない業務の魅力をダイレクトに届け、学生の深い理解とインフラへの興味を促進していけると考えています

インフラDXを支える先進的な取り組み

J-POWERグループ全体でデジタルイノベーションが加速する中、今回の大型橋梁・地中送電設備の3D化プロジェクトは大規模インフラ維持管理の安全性を可能な限り高め、施工検討を圧倒的に効率化させる非常に先進的な取り組みとなると考えております

本事例の計測に関するお問い合わせ

株式会社日本インシーク https://www.insiek.co.jp/

最先端の3D計測技術 (NavVis製品など) とDXソリューションを駆使し、社会インフラの調査・計画・設計から維持管理までをトータルにサポートする総合建設コンサルタントです。 工場やプラント、電力、下水、通信、イベントホールや文化財等、官民にわたる様々な施設の点群取得をはじめ、BIM/CIM作成、デジタルツイン化、施工計画の効率化等でお困りの際はお気軽にご相談ください

取材日:2026年5月

ホームページ:https://www.jpower.co.jp/tn/

導入のご検討・ご相談

  • どの製品がいいのか分からない
  • トータルでいくらかかるのか知りたい
  • 計測について相談したい

経験豊富な専門スタッフが、製品選定から費用、
計測方法まで丁寧にご相談に応じます。

お問い合わせフォーム

お電話からのお問い合わせ

03-5342-1088

受付時間 :平日 10:00〜17:00

導入検討に役立つ資料を入手

資料ダウンロード

最新情報をメールでお届け

メールマガジン登録