事例

測量業界 導入事例

George F. Young社(米)

リアリティキャプチャを「長期的な資産」へと変貌

100年の歴史を持つ測量会社であるGeorge F. Young社はダイナミックレーザースキャニングを活用
概要
・George F. Young社はNavVis VLXの導入により、主要な測量プロジェクトにおける現場作業時間を従来の数週間からわずか1日へと短縮
・NavVis VLXの導入にかかった初期費用は、運用開始からわずか数か月で完全に回収
・同社は「作業時間を売る」ビジネスから脱却し、付加価値の高い空間データ製品を提供するビジネスモデルへとシフトし顧客満足度向上と利益率の大幅な改善を同時に達成
・スキャン作業を一部の専門家だけでなく全社的なスキルとして展開したことで、社内での活用が広がり、投資収益率(ROI)の向上を加速
・ハリケーン”ミルトン”の復旧活動において、George F. Young社は緊急対応と部門間連携を支援するため、わずか24時間以内に重要なスキャンデータを提供し、地域社会に貢献

George F. Young, Inc. (GFY)は、100年以上にわたり米国南東部全域で測量、エンジニアリング、計画策定サービスなどの事業を展開してきた企業です。同社の公認測量士は自治体の公益事業の改修から複雑な都市再開発に至るまで、幅広い開発やインフラプロジェクトを支援しており、そのサービスには境界測量、地形測量、水路測量、建設測量が含まれます。

プロジェクト規模が複雑化し、要求納期が厳しくなるにつれて、GFY社は効率的で質の高い作業を提供しつつ、納期と現場費用を削減するために使用するツールを着実に拡充してきました。その取り組みには従来の測量ワークフローを補完、最適化するためのレーザースキャニングの活用が含まれています。

GFY社の測量担当副社長であるTrevor Hatch氏は次のように述べています。「私たちはデータリッチな(点群など)成果物への要求が高まり、より短い納期が求められるようになっています。品質を妥協したり、現場作業に数週間かけることなく、迅速に対応できるツールを確保したいと考えていました」

提供モデルの転換とNavVis VLXの選定

GFY社のチームは以前から一部のプロジェクトでスキャン技術を導入していましたが、カリフォルニア州から測量担当上級副社長としてSteven Heise氏が着任したことで、その活用は劇的な進化を遂げました。Heise氏はダイナミックなSLAM技術(自己位置推定と環境地図作成の同時実行)に関する深い知見を同社にもたらしました。

同氏は以前、主要なスポーツスタジアムや州営交通機関の沿線など、大規模なインフラプロジェクトでのスキャン作業を数多く手掛けてきた実績がありました。その経験は、GFY社がいくつかのスキャンシステムを評価し、最終的にNavVisを選定する上で役立ちました。

Steven Heise氏は「NavVisのデータは明らかに優れていました。私たちが求めていた品質を提供してくれた唯一のソリューションでした」と述べています。この評価は、GFY社が初期の評価段階で確認した複数の要因に基づいています。それは、長距離における精度、困難な環境下での信頼性、反射面に対する高い対応力などでした。これらの要因は密集した複雑な現場において、スキャン作業の成否を分ける可能性がある重要な要素でした。

NavVis VLXの購入が決定されると、GFY社はわずか数週間以内に実際のプロジェクトでスキャンを開始しました。

『作業時間』の提供から『成果物』の提供へ

GFY社にとって、スキャン技術の導入は単なる作業スピードの向上にとどまりませんでした。それは、特定の業務における価格設定や納品方法を根本から再考する大きな転機となりました。

同社のTrevor氏は次のように説明します。「私たちはスキャンプロジェクトを収益事業として展開していますが、単に利益を追及するのではなく、常に『価値を提供』に焦点を当てています。現在、従来と同等の信頼性を維持しつつ、大幅なコスト削減を実現しました。プロジェクトにもよりますが、精度や品質を一切妥協することなく、25%から最大88%ものコスト削減を達成しています」

「本来、測量・エンジニアリング業界のビジネスモデルは『時間を売る』ことでした。しかし、スキャン技術の導入によってそのモデルは大きく変貌を遂げました。今や私たちは時間ではなく『製品(データという価値)』を売っているのです」

「以前は『現場作業に2週間かかる』と伝えていた案件も、現在は『1日で終わります』と提案できます。その上でデータを精査し、以前よりも優れた成果物を顧客に提供できるようになったのです」

この変化は社内だけにとどまらず、GFY社は顧客が空間データの価値をより深く理解できるよう支援しています。スキャンした成果物が「アクセス可能」「検証可能」「再利用可能」になったことで顧客は部門や専門分野の枠を超え、プロジェクト全体に利益をもたらす形でデータを活用し始めています。

長期的な価値をもたらした対応事例

NavVis VLX 3を導入してからわずか数週間後のことでした。
GFY社はハリケーン”ミルトン”の通過後、セントピーターズバーグのダウンタウンにある400 Central高層ビルで発生したクレーン倒壊事故の現場記録を依頼されました。市当局と保険会社は、現場の状況を完全に網羅した記録を必要としていました。GFY社は要請の翌日には既に現場入りしていました。

Trevor Hatch氏は当時をこう振り返ります。「当初、依頼側が想定していたのは全体像を把握するための写真撮影でした。しかし私たちは写真撮影に加えて、現場全体を3Dスキャンし、精密なデジタルデータとして記録することを提案したのです」
その結果、現場の撤去作業が終わった後も、全ての利害関係者がいつでも検証できる『高精度な地理参照付きのデジタルアーカイブ』が完成しました。そして、この成果物は、単なる記録以上の価値をもたらすことになります。

Trevor氏はその意義を次のように語ります。「私たちが現場でスキャンデータを取得していたことが、結果として道路の再設計支援や、その後の継続的な現場支援につながりました。しかし、それ以上に重要なのは市当局が『何が起き、何がどこにあり、どのような影響を及ぼしたか』を完全に網羅した空間データを手に入れたことです」

このデータは、1度きりの報告書に留まりません。複数のプロジェクトや部門間で共有・参照・活用できる「基盤データ」となりました。これにより、GFY社と顧客の議論は、単なる「事後対応の記録」からデータを中心とした「戦略的な資産管理」へとステージを引き上げることができたのです。

George F. Youngの測量・マッピングサービスについて:
1919年の創業以来、GFY社は連邦政府、フロリダ州、郡、市、そして地域社会に対し、質の高い測量およびマッピングサービスを提供し続けています。現在、同社はフロリダ州で最大級の土地測量・マッピング会社の一つとして認知されており、都市部の高層ビル開発、広大な農村地帯、水域での深浅測量に至るまで、事実上あらゆる測量・マッピングプロジェクトに対応できるリソースを有しています。経験豊富で質の高いスタッフ、豊富なリソース、そして広範囲にわたる自社所有の専門機器により、毎年数千件ものプロジェクトでサービスを提供しています。

信頼に応える万全のサポート体制

GFY社によるNavVis VLXの導入成功の影には、NavVisのFrank Hahnel氏とAustin Jennee氏による献身的なサポートがありました。
GYF社Steve氏がフロリダから初めて連絡を取った際も即座に適切な担当者へと繋がれ、導入準備から実運用に至るまで極めてスムーズかつ一貫したコミュニケーションが維持されました。

Trevor氏はNavVisチームの迅速な対応を次のように高く評価しています。「彼らのおかげで私の業務は非常に円滑に進みました。導入後すぐにスキャン業務を開始することができ、万が一問題が発生しても、誰に相談すべきかが常に明確だったからです」

要件に応じた最適な技術選定と品質管理

スキャン技術が飛躍的な効率化をもたらした一方で、GFY社はその適用範囲について慎重な判断を下しています。

「既存のインフラ設備との整合性が求められる場合では、現在でもトータルステーションを使用しています。約3cm程の精度が不可欠な場面と、そうでない場面を正しく見極める必要があるからです。重要なのは、ツールの特性を熟知し、基準点を適切に活用することにあります」とSteve氏は語ります。

また同氏は、手法が何であれ、品質管理は不変の責任であると指摘します。「航空測量をであれ、地上での地形測量であれ、あるいはSLAM技術であれ、本質は同じです。データの出所を把握し、基準点を照合し、プロセスを厳密に検証する。その積み重ねこそが信頼を生むのです」。

成果の概要 – NavVis VLXがもたらしたビジネス・インパクト

GFY社はNavVis VLXを活用することで、顧客への提供価値の最大化と極めて高い投資対効果(ROI)を同時に実現しました。

コスト削減と投資回収
・圧倒的なコストパフォーマンス:変電所のスキャン業務において、従来の15%未満という驚異的なコストで成果物を納品
・現場訪問の最小化:複数チームによる重複作業や再測量のための繰り返しの現場訪問を大幅削減
・迅速な投資回収:スキャナーの導入費用をわずか数ヶ月で回収

効率性とスピード
・工期の大幅短縮:主要プロジェクトの現場作業時間を従来の「数週間からわずか1日」へと短縮
・即戦力としての導入:機器購入から数週間以内に実際のプロジェクトでの運用を開始
・組織全体のスキルアップ:チーム全体で技術を活用することで特定の担当者への業務集中を解消し、納期を短縮

ビジネスモデルの変換所有権&管理
・価値ベースの収益モデルへ:「時間単位の請求」から、高精度なデータという「高付加価値製品の販売」へとビジネスモデルを転換
・技術の民主化: スキャン作業を一部の専門家だけのものにせず、チーム全体の共通スキルへ
・データの資産化: 取得した空間データを部門間で再利用・共有。意思決定と戦略的計画を支える基盤データとして活用

George F. Youngについて

創立:1919

本社所在地:アメリカ・フロリダ州

ホームページ:https://www.georgefyoung.com/

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