事例
England-Thims & Miller (英)
大規模測量プロジェクトの加速と予算の最適化
・測量時間を3分の2以上短縮 — ETM社はNavVis VLX 3を使用し、通常60日かかっていたスタジアム内部の測量を25日未満で完了
・顧客の要望を受けてIVIONポータルを導入 — ライブデモをきっかけに専用ポータルを追加した結果、アクティブユーザーは1か月で5人から70人以上へと大きく増加
・大幅なコスト削減 — スタジアムプロジェクトだけで15万ドル以上の人件費を削減し、他のプロジェクトでも同様のコスト削減を実現
・再利用可能なデジタルツイン環境を構築 — 継続的な再スキャンを同一ポータルに集約し、設計変更や部門間の円滑な連携を支援
認定測量士であるスコット・A・グラハム氏が初めてNavVisについて耳にした際、彼はその誇大な宣伝に惑わされることはありませんでした 。フロリダ州を拠点とし、公共インフラや土地開発における深い専門知識で知られるエンジニアリング測量事務所、England-Thims & Miller(ETM社)の副社長兼チーフサーベイヤーとして 、彼は20年以上にわたりスキャン技術の盛衰を見届けてきたからです。「営業担当者の言うことは、話半分で聞くくらいが、おそらく現実でしょう」と彼は述べています。
しかし、スコット氏の直面していた測量業務は非常に複雑なプロジェクトでした。ETM社はジャクソンビル市と有名なプロフットボールチームによる注目度の高い官民パートナーシップの一環として、フロリダ州ジャクソンビルにある大規模スポーツスタジアムの全面改修をサポートするよう依頼されたのです。このプロジェクトは単なるスポーツス施設の改修にとどまらず、市の活性化、観光促進、インフラ投資とも結びついた、ウォーターフロント再開発を含む都市再生プロジェクトでもありました 。
当初、ETM社のチームはスタジアムの外壁内部全6フロアの正確な現状記録を提供するよう求められました。しかし、途中で要件が変更され、スタジアム内部で500箇所以上のスポット標高を取得することが必要となり、その多くは狭いサービスクローゼットや廊下、機械室などアクセスが難しい場所に位置していました。この急な要件変更により、ETM社がこれまで培ってきた従来の測量手法だけでは対応が困難になり、より効率的なアプローチを模索する必要に迫られたのです。
そこで、スコット氏は信頼する業界の知人で、現在はNavVis社に在籍しているフランク・ハーネル氏に連絡をとりました。但し、スコット氏が求めていたのは営業トークではなく、実際の性能を示す証拠でした。そのため彼はフランク氏をスタジアムに招き、現地での実機デモを行いました。ETM社はすでに同エリアを地上型スキャナーでデータ取得していたため、NavVis VLX 3の性能と直接比較することができました。
結果はスコット氏を十分納得させるものでした。NavVisの点群データは垂直方向で、0.017フィートRMSE(約5.2mm)という精度を記録。これは従来使用していた地上型スキャナーの0.014フィートとほぼ同等レベルでした。しかし、決め手となったのは精度だけではありません。NavVis VLX 3はETM社がこれまで使用してきた測量ワークフローにも簡単に組み込めることが確認され、実務での活用可能性が大きな決め手となりました 。
高速スキャンで現実空間を共有
ETM社はまず、NavVis VLX3を使用して、スタジアム内の全6フロアを2週間かけてスキャンし、要求通り正確なスポット標高データを取得しました。従来であれば、スコット氏は同じ範囲を測量するために静的な測量手法で約60日の現場作業を見込んでいました。しかし、NavVis VLX 3を使用することで、そのスケジュールは3分の1以下に短縮されました。
そして、本当の変化が起きたのはデータ納品の後でした。
スコット氏とチームは、作業を進める中で当初プロジェクト関係者から要求されていた以上の膨大な空間データを取得していることに気づきました。しかし彼らはまず、そのことをあえて強調せず、要求されていた通りの基準点標高を記したフロアプランや文書化用の測量グレードのデータなど従来形式の成果物を一通り納品しました。
その上で、顧客にこう提案をしました。「このデータを必要とする関係者は多いはずです。視覚的にアクセスできる形で提供してはいかがでしょうか?」
ただし、当時の顧客は慎重な姿勢を崩しませんでした。というのも、数年前に市がスタジアムのスキャン作業を依頼した別のエンジニアリング会社がモバイルスキャン技術を使用していたものの、測量基準点との適切な統合が行われていなかったからです。その結果、生成された点群データは十分な精度を満たさず、さらに閲覧用ソフトウェアも関係者の期待に応えるものではありませんでした。
スコット氏はNavVisが従来のソリューションとは明らかに違うことを確信していました。そこでETM社は自社ライセンスを活用して、NavVis IVIONのライブデモを実施しました。デモではスタジアムの1フロア分のデータだけをアップロードし、関係者をリアルタイムでその空間の中へ案内して見せました。すると、その違いはすぐに明らかになりました。データの品質と操作性の両面でこれまでとは明確な差があったのです。その結果、顧客はプロジェクトの一環として専用のNavVis IVIONポータルの導入を正式に要望しました。
その後まもなく、ETM社は顧客に対して、自社のNavVis IVION環境へのアクセスを提供しました。元々は、一度限りのスキャン納品物として納品される予定だったデータが必要に応じて更新される共有デジタル環境へと発展しました。わずか1ヶ月間に、最初は5人だった閲覧者が、建築家、エンジニア、市当局者、さらにはプロフットボールチームのスタッフに至るまで、70人以上のアクティブユーザーへと拡大しました。こうして1度限りのスキャンで取得されたデータはプロジェクト全体で活用される”信頼できる唯一の情報源”となったのです。
「私たちの納品スピードが上がるに連れて、関係者は次回の納品に対しても同様のスピードを期待するようになります。私たちは自らハードル基準を上げてしまいましたが最終的にはプロジェクトに関わる全ての人にとってプラスになっています」
— スコット・A・グラハム、PSM、副社長/チーフサーベイヤー、England-Thims & Miller Surveying and Mapping, Inc.
実証された成果
ジャクソンビルのスタジアム改修プロジェクトから得られた数値は、その効果を明確に示しています。ETM社はたった1台のNavVis VLX 3を導入しただけでスタジアム内部調査の作業を50〜55日間短縮し、さらに15万ドル以上の作業員コストの削減を実現しました。その結果、レーザースキャナーへの投資額を数倍も上回る効果を短期間で達成しています。
この成果は、NavVis VLX 3を使用した他のプロジェクトでも同様の成果が繰り返し確認されています:
– かつて、据置型測量手法で最大5日間を要していた20棟の集合住宅群の測量プロジェクトが、約1日半でデータ取得、処理、納品まで完了しました。
– 以前は交通規制の大きな問題だった都市部の混雑した交差点も現在では一度のウォークスルーで計測可能となり、エンジニアは車線閉鎖許可を申請する前に干渉検出に必要なデータを取得できるようになりました。
こうしたスピードの向上はプロジェクト関係者の期待そのものを変えていきます。「私たちの納品スピードが上がるほど、関係者は次回の納期もより早く期待するようになります。私たちは自らハードル基準を上げてしまいましたが、最終的にはプロジェクト全体にとって良いことです」とスコット・グラハムは述べています。
なぜそれが重要なのでしょうか?それは、時間そのものが利益につながるからです。スコット氏はLiDARとSLAM技術の進化が大規模測量の進め方をいかに変革しつつあるかを説明します。
例えば、500エーカー(200万㎡超)の広大な敷地でも、従来の測量手法では最大8ヶ月かかっていた作業がLiDAR技術と地上検証を組み合わせることで、わずか3ヶ月ほどで完了するようになりました。しかも精度は維持されるどころか、多くの場合で従来以上の品質を実現しています。
このスピード向上は、開発業者にとって大きな意味を持ちます。なぜなら、測量作業はプロジェクト全体の進行を左右する最初の最重要工程だからです。計画段階の期間を数ヶ月短縮できれば開発事業者は数十万ドルもの資金調達コストや維持コストを大幅に削減できます。さらに住宅の販売開始や施設の開業を早めることができ、事業収益の立ち上がりを加速させることにもつながります。
「時は金なり」と言われる業界では、測量成果をいかに早く提供できるかがプロジェクトの成否を大きく左右します。迅速なデータ提供はコスト削減だけでなく、プロジェクトの実現性を高め、事業計画を強化し、企業に競争優位性をもたらします 。
現場が大規模なスタジアムであっても、都市部の交差点であっても、あるいは自然の残る未開発地であっても、得られる効果は共通しています。それはスケジュールの短縮、コストの削減、そして迅速な意思決定です。
その結果、自治体当局はより迅速に許可を出すことができ、開発事業者は早期に入居や施設運用を開始でき、エンジニアは現況がすでに正確にデジタル化されているという確信のもとで作業を進めることができるのです。
England-Thims & Millerについて
ETM(England-Thims & Miller, Inc.)は、米国フロリダ州を拠点に地域社会の発展を支えるにインフラソリューションを提供する総合建設コンサルティングのリーディングカンパニーです 。土木工学を中核とする専門分野とし、数十年にわたる豊富な経験と最先端技術を組み合わせ、道路設計、宅地開発、雨水管理、公共事業計画など、多岐にわたるプロジェクトを支援しています 。経験豊富な専門家チームは、地域特有の規制や環境条件を深く理解し、官民双方のクライアントに対して、機能性、安全性、長期的な価値を最大化するオーダーメイドのソリューションを創出しています。
ETMは卓越した品質へのこだわりと協働型のプロジェクト推進により、米国南東部全体で高い信頼と評価を得ています。
インフラとしてのリアリティ・キャプチャ
こうした大幅なコストと時間の削減効果により、NavVisはETM社の業務において中核的な技術として急速に定着しました。その活用範囲は単なる設計や計画のためのデータ取得に留まらず、GIS(地理情報システム)、資産マッピング、さらには都市全体のデジタルツイン構築へと広がっています。
一部のプロジェクトでは、ETM社はNavVisを活用し、測量基準点を設置することなく建物内部をスキャンすることも可能になりました。これにより、測地基準点に厳密に結合しなくても、GISで活用できる十分な精度で資産の位置情報を取得できるようになっています。さらにより複雑なプロジェクトでは、NavVisのSLAMデータをGPSや従来の測量基準点と統合することで高精度かつナビゲーション可能なデジタル環境を構築しています。
取得したデータは、ETM社が既に点群からの特徴抽出に活用しているソフトウェア、TopoDOTに直接取り込むことができます。新たに実装されたNavVisとの統合機能により、NavVis VLXで取得したパノラマ画像と位置合わせ済みの点群をIPRJ形式でエクスポートすることが可能になりました。余分な処理工程が削減され、CAD対応のワークフローへの引き渡しがスムーズにできます。
スコット氏はこの技術の本当の価値は、単体のツールではなく”キャプチャ、基準管理、処理、そして特徴抽出といった一連のプロセスが連携し、エンド・ツー・エンドの空間記録を実現できる点にあるといいます。「こうしたシステムを構築する上で、測量士ほど適した存在はいません。私たちはデータをどのように検証するかを知っていますし、そのデータが現実を正確に反映していることを保証する方法を理解しているからです」
さらに、自治体やインフラ管理者が常に更新されるデジタルな空間記録という概念を受け入れるようになるにつれ、NavVis VLX 3やNavVis IVIONのようなソリューションはプロジェクトの計画、維持管理、そして情報共有の方法を変える重要な役割を担うことになっていくと期待しています。
次のイノベーションに向けたパートナーシップ
NavVisとETM社のパートナーシップは「懐疑的だった一人の測量士」が投げかけた厳しい質問と、それに応えた高性能なモバイルレーザースキャナーとの出会いから始まりました。
この連携はデータに対する考え方を一変させました。データは、もはや単なる成果物ではなく、チームやプロジェクトの枠を越えて共有され、意思決定を支える進化し続ける情報基盤として共有活用されるようになったのです。
これこそが、NavVisを単なる「製品」以上の存在にしている理由です。
スコット・A・グラハム氏とEngland-Thims & Miller社のような経験豊富なプロフェッショナルの手にかかると、NavVisはプロジェクトを支える重要なデジタルインフラへと進化します。
ETM社におけるNavVis導入による時間、労働力、コスト削減
対象プロジェクト:スタジアム改修、20棟の集合住宅、都市交差点の改良、500エーカーの未開発地
・現場作業期間の短縮(スタジアム):従来の測量に対し50〜55日(約60日から約25日へ)
・直接人件費の削減額(スタジアム):15万ドル以上をコスト削減
・精度(スタジアム):垂直RMSE:NavVis = 0.017フィート vs 静的LiDAR = 0.014フィート
・集合住宅の測量期間:5日(地上型)→ 1.5日(NavVis)
・NavVis IVIONへのアクセス(スタジアム):1ヶ月で5ユーザーから70人以上に増加
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