事例

導入事例

中日本高速道路株式会社 様

NavVisを活用することで、
全トイレ状況把握の効率化を実現できました

中日本高速道路株式会社 東京支社 保全・サービス事業部 施設課 係長 伊藤佑治氏(中央)、荒木華子氏(右)、中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 施設管理部 建築保全課 課長 関陽介氏(左)
東名高速道路や中央自動車道等、高速道路の新設、改築、維持、修繕、管理を行っ ている中日本高速道路株式会社。東京支社 保全・サービス事業部では、点在するSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)、料金所などの施設の建築・ 改修や点検・補修などの管理運営全般を行っており、2019年、SA・PAの全トイレの状況把握の効率化を目指して、NavVisを導入した。このプロジェクトを指揮した東京支社 保全・サービス事業部 施設課の伊藤佑治氏、荒木華子氏と、 実際にNavVisを使用し半年かけて100カ所を超えるSA・PAのトイレを撮影した中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 施設管理部 建築保全課の関陽介氏に、導入動機や成果、今後の展望などをうかがった。

導入した経緯

全トイレを網羅したプラットフォームを整備したかった
伊藤佑治氏

私たちは高速道路のSA・PAにあるトイレをお客さまのオアシスとして位置づけ、とても重要視しています。
ただ、管轄している高速道路は広範囲に渡り、SAやPAも多数存在するので、すべてのトイレを頻繁にチェックするのは困難です。
また、私たちはより快適なトイレにするために、お客さまからご意見・ご要望を集め、その声に応えたいと、お客さまからのご意見の窓として、ハイウェイポストやお客さまセンターを設置しています。

そのお客さまからの声が毎日たくさん、私たちのもとに届きます。
それらについて事実確認し、改善するためには現状把握が不可欠ですが、すべてのSA・PAのトイレの状況を網羅したプラットフォームのようなものはなく、私たちで整備するのも困難でした。

そんな時に構造計画研究所(以下、KKE)の担当者から、NavVisをご提案いただいたのです。NavVisは移動式デバイスのトロリーM3/M6で撮影することで、360度パノラマ画像と3次元点群(ポイントクラウド)データを作成し、施設全体を3次元デジタルモデル化することができます。閲覧する際も専用ソフトが不要で、通常のWebブラウザでNavVis IndoorViewerにアクセスして、PCやスマホからストリートビューのように閲覧可能だったので、トイレの施設・設備管理のためのプラットフォーム整備にうってつけだと思いました。

まずは2018年5月に、試験的に海老名SAのトイレを撮影しました。撮影に要する時間、撮影可能範囲、計測にかかるコスト、Webブラウザによる閲覧・編集・共有環境の操作性などを確認し、期待通りだったので本格導入を決定。2019年7月からNEXCO中日本東京支社管内の全SA・PAのトイレ施設を対象として、NavVisによる360度パノラマ画像と点群データを活用したプラットフォーム整備を開始したというわけです。半年間で100カ所超のSA・PAのトイレを撮影し、関係者内で閲覧できるようになっています。

導入方法

操作・閲覧はとても簡単
関 陽介氏

実際の撮影作業は中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社が担当しました。まず30分ほどかけて、現場でNavVis M3を組み立てて、セッティングします。その後は電源を入れて撮影ボタンを押して、トイレの中をNavVisを押しながら移動するだけ。自動的に測定位置・方位、3D形状を同時に測定・記録し、高解像度パノラマ写真を撮影してくれます。

最初はストリートビューをイメージしていたのでトイレの中を一筆書きで移動しつつ撮影しなければいけないのかなと思っていました。

でも実際は途切れても問題なく、トイレの中をNavVisで塗りつぶすイメージで動かせばよかったので簡単でした。特に操作上で難しかった点や迷ったことはなかったですね。その後はデータをKKEに送れば測定位置・方位の記録をもとにほぼ自動で写真を組み合わせ、かなりの短期間でトイレ空間全体の360度3次元デジタルモデルを作成してくれるんです。

導入のメリット・成果

現場状況把握の効率化を実現
荒木 華子氏

NavVisのおかげで冒頭にお話しした課題は解決できました。通常の写真ではどうしても限られた一部分の状況しか写せないのですが、NavVisは写真が統合されて1 つの空間として認識できるので、トイレの全体像や雰囲気が正しくつかめるようになりました。さらに、画面上で視点を動かして、お客さまの目線で問題箇所を確認できます。そのおかげでお客さまのご意見の真意と問題を正確に把握でき、対処できるようになりました。

導入以前はお客さまの声が届くと、現場の事務所職員に問題箇所の状況確認と写真撮影をお願いして報告いただいていたのですが、管理事務所のメンバーも忙しいので、写真が届くまでにタイムラグがあることもありました。また、送ってもらった写真ではよくわからないこともあり、再度撮り直してもらわなければならないことや、時には私たちが自ら現場に赴いて確認しなければならないこともありました。このような作業を減らし、より効率的に活動したいと常々思っていたのですが、それが叶いました。

あとは、PCの画面上で簡単に寸法を測ることができるのもとても便利です。例えばお客さまから「洗面台に子どもの手が届かない」というご意見が届いた時に、実際の寸法を画面上ですぐ測ることができるので、迅速かつ確実な対応が可能となるのです。
以上のように、NavVisを活用してSA・PAのトイレの3次元デジタルプラットフォームを整備・活用することで、現場状況把握の時間や労力などのロスを削減でき、業務の効率化を実現できました。

NavVis IndoorViewerによる実際の閲覧画面

今後の展開

建物の維持管理にも活用していきたい

建物の点検など、維持管理にも活用したいと考えています。現在、建物の定期点検を年に1度実施しているのですが、その点検結果をNavVisにインプットしておけば、NavVisを閲覧するたびに点検で判明した問題点を意識するようになり、迅速な修繕などの対応が可能になります。
また、社外的にもお客さまへの広報という面で活用できると思います。例えば各SAのホームページ上での施設案内で、ストリートビュー方式でトイレの中の様子を見られるようにすれば、お客さまにとってもメリットが大きいのではないでしょうか。
さらに、トイレの課題は実際に整備して、お客さまが利用するようになって初めて判明します。それから作り直そうとすると多大なコストがかかります。そこで新たにトイレを建てたり改修・整備する際には、事前にシミュレーションを実施することで、空間計画やサイン計画などの課題が明らかになり、計画に活用できるようになります。そのシミュレーションの高度化の一環で、実際の使われ方との比較検討を2015年から行っているのですが、現在利用しているシミュレータでは、平面形状を設定する際などの事前準備の手間がネックになっています。そこで、NavVisで計測されたデータを人の移動をシミュレーションできるKKEのartisoc(マルチエージェント・シミュレーションプラットフォーム)と連携させれば、設定の手間が大幅に省ける可能性が高いので、現在、KKEの担当者に相談しているところです。
KKEは課題があるとすぐに相談に乗ってくれて、いくつも対応策を提案してくれるので、とても助かっています。今後も期待しています。

取材日:2022年3月

中日本高速道路株式会社について

創立:2005年

本社所在地:名古屋市中区

ホームページ:https://www.c-nexco.co.jp/corporate/